国内アクションの新時代。映画「RE:BORN リボーン」を観た。
観たいと思った映画は大体最寄りの映画館でやらないのはなんでだろう(ヒント・僻地在住)。
ということでようやく観れました。この映画を観るにはちょっと文脈(?)が必要かもしれないので、ちょっと説明。この映画はアクション映画なんですが、作中でゼロレンジ・コンバットという戦闘技術が使われています。ゼロレンジ・コンバットが何なのかはyoutubeなどを見てほしい。
ゼロレンジコンバットを体験!『リボーンコンバットシステム』動画レポート
動画だけでも物凄い動きというのが分かると思う。現代の忍者と言っても過言ではないムーブ。
そんなゼロレンジ・コンバットは、レッドレこと 映画「HiGH & LOW THE RED RAIN」でも使われていて、このゼロレンジ・コンバットが初めて採用された映画にもなっている。というか、レッドレのアクション監督をしている匠馬敏郎という人、実は本作「RE:BORN」主演のTAK∴(坂口拓)の別名義でもあり、世界一ゼロレンジ・コンバットに造詣が深い俳優兼アクション監督でもあるわけです。
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ちょっと前口上が長くなりましたが、一言で言えばこの映画のアクションは凄いよ!ということだけで、それはこの映画を観たら十分に伝わると思っているんだけど、アクション映画好きの人はもちろん、今の邦画アクションはここまでやるぞ、ということをあまり邦画(のアクション)に興味ない人にも一人でも多く知ってもらいたいなあと。
で、ようやく本題ですが、この映画は良くも悪くもアクションだけが主な見所で、ストーリーもアクションを撮るために存在しているので、この映画の良し悪しはアクションの良し悪しでしか語れないです。この映画の欠点は探せば、探した分だけあるでしょうけど、それはこの映画にとって不粋というもの。
この映画の見所は主人公の出ている所(=アクションシーン)全部! って感じなんだけど、特に序盤から中盤の刺客(いしだ壱成)との街中での攻防と、篠田麻里子との電話ボックス内での格闘シーンは必見。篠田麻里子も動く動くで見ていて楽しい。後半での長回しアクションはちょっとダレる部分はあるけど、他のアクション映画にはない斬新さと、的確に相手を無力化していく技術の攻防と、一瞬で動きを終えている身体能力の高さは十二分に堪能できる。あと強敵は一応出てくるものの、主人公無双な部分があるので、そこら辺のカタルシスは若干弱いかも。どちらかというと現状では日本国内よりも海外からの評価の方が高そうな作品だけど、これからの国内アクションを語る上で、確実に外せない一作と言っても過言ではないと思う。
さらに余談ですが、ナレーションが「ハイキックガール」の武田梨奈なので、どこを取ってもガチアクション勢で完全に分かっている布陣。
坂口拓と言えば、自分にとってのファーストインパクトはデビュー作&初主演映画の「VERSUS」なので、こちらもオススメしとく。初見はVHS版でしたが、この頃からアクションは凄かったなあ。
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映画「東京喰種トーキョーグール」を観た。
最近は漫画実写映画を観る頻度が増えた気がする。まあ実際に製作本数が多くなってきてはいるんだろうけど。そんな訳で「東京喰種トーキョーグール」を観た。
感想。映画としては全体的には悪くなかったが、原作との相性とか周辺事情が厳しかったのが残念。昔書いたハイロー記事*1でも触れたように、窪田正孝と鈴木伸之の身体能力の高い俳優によるバチバチのバトルアクションを期待していたんですが、二人とも素でもかなり動けるのに、アクションの大半をCGに頼って濁しているのはもったいなかった。まあカグネとクインケがバトルのメインなのでCG主体になるのは仕方ないけれど。
これは脚本・構成のせいばかりではないけど、世界観(設定)の説明とドラマパートのバランスが良くない。元々、原作からして各所の設定が複雑だけど、それでも実写化にあたって設定の大部分はかなり省略しているのは正しいし、間違ってない。だけど、それでも残された設定がやや消化不良気味で、原作未読者が初見で理解するにはちょっと厳しい。キャッチコピーにも使われている「人でも喰種でもない存在=主人公」ってテーマもそこまで踏み込めていなかった印象。
もちろん良かった所も結構あった。真戸さん(役名)に大泉洋を差配したのは本当に偉いし、真戸さんが出てくるたびに面白かった。あと主演の窪田正孝はヒョロガリ役だったので、喰種になる前からゾンビか爬虫類っぽい動きで気持ち悪くて良かった(褒めてる)。あとはトーカ役の清水富美加がかなり動いていて良かった。CG演出抜きで、一番動いていた気がするのは、主人公を訓練するシーンとVS真戸の所が印象深かったからだろうか。
他には映画の内容ではない周辺事情として、製作側からしたらおそらく動員数によっては続編狙いも十分あったと思うんですが、ヒロイン役の人が色々あった結果、実質引退になったのは意図せぬ展開で、多少なりとも影響はあったと思う。
あとは原作読者からすると、ちょっと実写化には難しい漫画だったなあという印象。原作は明確にテイストが違うけど、実写化映画として観ると「寄生獣」とどうしても比べてしまう。喰種側もCCG側も登場人物(捨てキャラ含む)多くて、群像劇的な側面もあって、盛り上がりの部分が分かりにくい&映像化しにくそうというのがある。脚本的にも話の構成ポイントをどこにするかがメチャクチャ難しかったと思う。今回の映画以降のエピソードも、さらには第2部の「:re」になってからも、話がさらにすごいことになるし、つくづく映像化に不向きな原作だったなあと改めて思った。そういう意味でも続編の可能性がキッツい作品だったので、そこも不運と言えば不運。
予言と言うか妄想希望だけど、もし今後この「東京喰種」が再度実写化するとしたら、ネット配信オリジナルか地上波深夜のドラマ版「東京喰種」を経て、劇場版「:re」として映画化みたいな流れになるんじゃないですかね。韓国映画化とかハリウッド化も内容的にハードル高そうだし。
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映画「無限の住人」を観た。
製作決定発表の当時はまさかの実写化に驚き、主人公・万次役にキムタクをキャスティングで二度驚き、さらに公開前にSMAPが解散騒動が勃発したので無駄に三度驚いた記憶がある。
感想。まさかラストまで駆け抜けるとは思っていなかった。あとキャスティングが神。もちろん大幅にアレンジしているものの、原作ラスト近辺まで手を伸ばした構成と潔い姿勢は見事。最近の実写化映画って次回作を見越してるのか、出し惜しみしがちな所があるじゃないですか。そんな中で、一作で完結させようと作り込んでいるこの映画は評価したい。まあ、逸刀流のエピソードと顛末まで描かないと、親子(家族)の因縁と復讐譚と不死者の物語でもある「無限の住人」の面白さを描けないというか、他の実写化映画と差別化を図れないという意図もあったとは思う。
あとキャスティングが思いの外良くて、凛役の杉咲花も魅力的で存在感が出ていて良かった。万次役の木村拓哉自身もまあ普通に良かったし、ヒロインの杉咲花の魅力を引き出していた控えめな演技も良かった。全体的に、役者が原作のキャラの魅力を引き出しながら&その上で役者自身の個性が引き出された結果として、この映画の原作再現度と完成度が高められているのが一番のポイント。
あとは尸良が最高に良かったと思っていて、原作でも好きなんですよ尸良。あの狂気性をどういう風に演じるかと思ったら、市原隼人がやってくれた。序盤の兄貴分からの落差が最高で完全に尸良です、本当にありがとうございます! 黒衣鯖人の北村一輝は役に入り込み過ぎていて良かったし、乙橘槇絵役の戸田恵梨香もかなりアクションしていて良かった。だが、栗山千明の無駄遣いは許せん!
うーん。それでも全体として印象にあまり残らなかったのは、これは完全に個人的な事情なんだけど、観ている途中にふと頭に浮かんだ「マジメにやった劇場版銀魂」という印象を最後まで拭えなかったのがある気がする。
どっちの映画も悪くないし、2時間でまとめた完成度も高かったと思うんですけどね。原作ファンでも一見の価値はあるし、キムタク主演で観てない人でも見所は十分にある映画だと思います。原作ファンとしては尸良以外には吐鉤群役の田中泯(みん)が原作レベルの存在感を発揮しているので、そこも必見。後半の戦場で飯を食うシーンは本当にすごいと思う。
ついでに原作も超絶面白い& 尸良も活躍しているのでオススメ。