実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

35年越しの続編。映画「ブレードランナー2049」を観た。

ブレードランナー 2049 (字幕版)

 一応続編モノですが、レプリカント等の用語やあらすじレベルで予習してたら、必ず前作を観る必要はないとも思う。一部よく分からない所があるにしても、それなりに楽しめるはず。ちなみに前作「ブレードランナー」の感想はコチラ。

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  感想。35年の年月を経た、正しく続編という感じ。元々30年以上も前の映画「ブレードランナー」自体が今観ても古さを感じないけど、今作は時代の変化を上手く作品に取り入れて反映していると思う。

 前作の主題は「何が人間とレプリカントを分けるのか。感情と寿命を持ったロボットが人間ではないのは何故か?」という問いだったと思ってるけど、今作でも根底の主題は変調しつつも変わっていないと思う。どちらかと言えば主人公とヒロインの関係で言えば「ここまで人間(レプリカント)に近付いたのに、人間(レプリカント)になれない」悲哀があって、時代の流れもあるけど好みで言えば今作の方が好みだった。どっちもレプリカントが人間らしくて、人間がレプリカント(ロボット)っぽい所がミソで、感情のトリガーを引いてくれる。 

 正直言うと全て理解できたわけではなくて「結局、あの謎はどうなったの?」みたいな所も多々あったり(レプリカントの出産とか、前作主人公の正体とか)して、前作も含めてその辺りの解釈は現段階では「どっちでもいい」んだろうなあ。なんか続編も匂わせているし、謎は謎のまま持っていくスタンスっぽい。

 一番良かったシーンは、レプリカントが電脳彼女(ホログラム)と身体を重ねるシーンが、お互いが相手を求めて手を伸ばすけどすれ違う系の悲哀があり、逆説的に人間らしさを一番問うていてサイバーパンク感があってとても良かった。

 全体的には、近未来感溢れる雰囲気も良くて、よく分からないなりに世界観とドラマを楽しめた映画だった。 

アート・アンド・ソウル・オブ・ブレードランナー2049

アート・アンド・ソウル・オブ・ブレードランナー2049

 

 

 

2018年4月に観た映画

4月(7作)

  1. 「グレイテストショーマン」

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  2. 「ローガン」

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  3. 「ザ・シャッフル」

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  4. 「沈黙―サイレンス―」

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  5. 無限の住人

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  6. ブレードランナー2049」

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  7. 「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」

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映画「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」を観た。

 マクドナルドを題材にした映画って「スーパーサイズミー」くらいしか他には知らないけど、もうマクドナルドという企業を題材にした時点で批判性・問題提起がセットと言う感じがする。マクドナルドは超最高!みたいなプロバガンダ映画をもう作る意味もなく、どれだけアンチに叩かれても局所的な影響しか生じないぐらい、インフラレベルの超巨大企業というイメージがある。

ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(字幕版)

 この映画は”マクドナルドの創業者”レイ・クロックの自伝的映画だ。主演は「バードマン」のマイケル・キートンで、高齢で野心家という役を完璧にこなしている。目力というか目のギラつき方が本当にヤバくてすごい(誉めてる)。

 “マクドナルドの創業者”とカッコ付きなのは、この映画の話自体がセールスマンだったレイ・クロックがマクドナルド兄弟と出会い、兄弟から「マクドナルド」を奪い、己のハンバーガー帝国を作っていく物語でもあるわけで、マクドナルドがいつから始まったのかという起源のズレと勝者の歴史にも踏み込んでいて、その辺りもヒリヒリさせてくれて良い。

 作中では基本的にどちらにも肩入れせずに、フラットに事実・エピソードを実写化しているんだけど、マクドナルド兄弟の考案した効率化システムが当時は本当に革新的なものだったというのが肌感覚(他のハンバーガー屋のシーンと対比させることで)で伝わってきて面白い。実はこの映画、経営者とエンジニア(職人)の対立の話でもあって、ガンガン規模を拡大させたい経営者と質を重視して保守的になる職人の対比を見てると、フェイスブックの創業を描いた「ソーシャルネットワーク」を思い出す。ソーシャルネットワークもそうだったけど、この手の創業を巡る争いは契約と名誉と裁判の3つが出てきて、最終的には名誉が最も重視される印象。

 全体的に完成度が高い映画で良かった。この映画のキモは、ラストのトイレでの2人の会話に尽きると思う。そこで語られる2人の短いやり取りに、この映画とレイ・クロックの全てが凝縮されていると思う。そこで語られるレイ・クロックの言葉にはある種のサイコパス感もあるし、同時にファウンダーとして最も重要なセンスってそういうことなんだろうなという奇妙な納得感もあった。繰り返しになるけど、マイケル・キートンの演技がすごい。

 

  

 

国内アクションの新時代。映画「RE:BORN リボーン」を観た。

 観たいと思った映画は大体最寄りの映画館でやらないのはなんでだろう(ヒント・僻地在住)。

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 ということでようやく観れました。この映画を観るにはちょっと文脈(?)が必要かもしれないので、ちょっと説明。この映画はアクション映画なんですが、作中でゼロレンジ・コンバットという戦闘技術が使われています。ゼロレンジ・コンバットが何なのかはyoutubeなどを見てほしい。


ゼロレンジコンバットを体験!『リボーンコンバットシステム』動画レポート

  動画だけでも物凄い動きというのが分かると思う。現代の忍者と言っても過言ではないムーブ。

 そんなゼロレンジ・コンバットは、レッドレこと 映画「HiGH & LOW THE RED RAIN」でも使われていて、このゼロレンジ・コンバットが初めて採用された映画にもなっている。というか、レッドレのアクション監督をしている匠馬敏郎という人、実は本作「RE:BORN」主演のTAK∴(坂口拓)の別名義でもあり、世界一ゼロレンジ・コンバットに造詣が深い俳優兼アクション監督でもあるわけです。

HiGH & LOW THE RED RAIN(豪華盤) [Blu-ray]
 

  ちょっと前口上が長くなりましたが、一言で言えばこの映画のアクションは凄いよ!ということだけで、それはこの映画を観たら十分に伝わると思っているんだけど、アクション映画好きの人はもちろん、今の邦画アクションはここまでやるぞ、ということをあまり邦画(のアクション)に興味ない人にも一人でも多く知ってもらいたいなあと。

 で、ようやく本題ですが、この映画は良くも悪くもアクションだけが主な見所で、ストーリーもアクションを撮るために存在しているので、この映画の良し悪しはアクションの良し悪しでしか語れないです。この映画の欠点は探せば、探した分だけあるでしょうけど、それはこの映画にとって不粋というもの。

 この映画の見所は主人公の出ている所(=アクションシーン)全部! って感じなんだけど、特に序盤から中盤の刺客(いしだ壱成)との街中での攻防と、篠田麻里子との電話ボックス内での格闘シーンは必見篠田麻里子も動く動くで見ていて楽しい。後半での長回しアクションはちょっとダレる部分はあるけど、他のアクション映画にはない斬新さと、的確に相手を無力化していく技術の攻防と、一瞬で動きを終えている身体能力の高さは十二分に堪能できる。あと強敵は一応出てくるものの、主人公無双な部分があるので、そこら辺のカタルシスは若干弱いかも。どちらかというと現状では日本国内よりも海外からの評価の方が高そうな作品だけど、これからの国内アクションを語る上で、確実に外せない一作と言っても過言ではないと思う。

 さらに余談ですが、ナレーションが「ハイキックガール」の武田梨奈なので、どこを取ってもガチアクション勢で完全に分かっている布陣。

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   坂口拓と言えば、自分にとってのファーストインパクトはデビュー作&初主演映画の「VERSUS」なので、こちらもオススメしとく。初見はVHS版でしたが、この頃からアクションは凄かったなあ。