読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

善悪の彼岸とドニーイェン。映画「SPL 狼よ静かに死ね」を観た。

  原題は「殺破狼」で、その頭文字をとってSPLらしい。原題は字面がカッコいいが、邦題の「狼よ静かに死ね」も良い。男たちの挽歌もそうだけど香港映画の邦題のセンスは素晴らしいね。邦題のセンスの良さが映画の傑作度に影響しているんじゃないかと思えるくらいだ。

SPL 狼よ静かに死ね 特別版 [DVD]

SPL 狼よ静かに死ね 特別版 [DVD]

 

 そんな訳でこの映画もまた傑作でした。というかサモハンVSドニーという時点でもう最強! ですよ。自分がドニーイェンを初めて意識した映画「イップマン」でもドニーVSサモハンの超絶アクションが観れるんですが(不安定で傾いた円卓の上で互いに高速拳打のシーンは何度観ても圧巻)、この映画はその前に撮られているんで、この映画でのバトルを「イップマン」での前哨戦と見るとなんだか感慨深い。

イップ・マン 序章&葉問 Blu-rayツインパック

イップ・マン 序章&葉問 Blu-rayツインパック

 

 前半はドラマパート、後半で怒涛のアクションという構成なんですが、前半も結構味のあるストーリーで良かった。汚れ仕事にも手を染めている刑事たちが、ビルの上に立って並んでいるシーン、完全に悪人側にしか見えないけど格好いい絵面。

 そして、サモハンが初の悪役という触れ込みだったけど、立ち位置は完全に主人公だった。そしてドニーのアクションが冴える冴える。ドスを持った殺し屋VS特殊警棒を持ったドニーのバトルから始まり、サモハンへのタックルからのマウント、三段蹴り、関節技、投げ技! 特に三段蹴りと投げ技は見応え抜群。投げ技はサモハンの体格がまるっとしているからとても面白い絵面になっているので必見。このアクションのためだけに観る価値のある映画。

 あとラストシーンはすごい衝撃的だった。こんなことってあるのかよ・・・でも映画としてはサプライズという意味では最高に面白い展開だと思う。俺に言えることはただひとつ。これはドニー・イェンが悪い

 ドニー・イェンは出ていないけど、続編の「殺破狼2」も去年公開しているようだ。日本ではまだ未発売だけど、「マッハ!」シリーズでお馴染みのトニー・ジャーが出ているのでめちゃくちゃ期待できる。(追記・2017年に「ドラゴン・マッハ」というタイトルで一部劇場で上映されています)


SPL 2 Full Trailer (Sha Po lang 2) Tony Jaa, Wu Jing

殺破狼II (2015/香港, 中国) (Blu-ray) (香港版)

殺破狼II (2015/香港, 中国) (Blu-ray) (香港版)

 

  もうちょっと突っ込んだ話はネタバレになるので、「続きを読む」からどうぞ。

  •  この映画における主人公って、やはり刑事(たち)とサモハンなのだと思う。
  • ドニーはあくまでアクション担当であり、2人の主人公にとっての「試練」であって、正義の存在ではないんだよね。
  • 家族を愛し、どんな手を使っても守るという点において、サモハンとあの刑事たちには何の違いもないわけで。
  • 死んでしまった同じチームの刑事の娘を守るため、全員が手を汚すという設定は熱いし、それぞれが家族に対して何らかの思いを抱いているという描写も冗長だけど良い。
  • ドニーはそういう意味では守るべき家族もいないし、ただただフラットな存在だ。それぞれ事情も正義もあるけど、悪いことは悪いことだし、悪いことをしたら裁くマンという意味で善悪の彼岸に立っている。
  • サモハンは悪い奴なのかもしれないけど、ドニーに目を付けられたという点では何か理不尽に不幸な目にあっている人みたいな感じになっている。
  • アクション映画のドラマパートなんで、粗は探しても探さなくてもあるけど、結構骨太で分かりやすく因果のある話で好きだ。
  • 家族の絆の表現として、携帯電話で会話するシーンが何回か出てくるんだけど、何度も何度もピリリリリリって着信音が鳴るので、ギャグなのか? ギャグのつもりなのか!? 携帯会社のCMなのか!? というくらい鳴るので半笑い。最終的にはドニーイェンがサモハンの首を絞めている時にも鳴り出すからね(正確には違うけど)。そっとサモハンの首を絞める腕を緩めるドニー。家族に大丈夫だと伝えるサモハン。電話が切れると再びサモハンの首を絞めるドニー。いい加減にしてくれ。笑い死ぬから。
  • サモハンはもうこれまでのキャリアから貫禄ありすぎて、取調室で携帯使っていても、留置所で煙草吸っていても何の違和感もない所がすげえ。サモハンだから仕方ねえなって思う。
  • あとサモハンは部下とか大量にいたけど瓶を一斉に割るくらいしか見せ場のなかったチンピラ達を使うよりも、単身で乗り込んでどうにかしたほうが手っ取り早いんじゃないかというレベル。
  • これは特殊警棒を奪われた瞬間にいきなり強くなって敵を瞬殺したドニーにも同じことが言える。武器持っている方が弱いというドニーイェン。
  • あと、この映画の決め技のサモハン投げはドニーとサモハンのアクションのクライマックスで凄い見応えあるんだけど、空中に浮いているサモハンの絵面が面白いというか愛らしいというか独特の味わい。もちろん何度も繰り返し見た。
  • サモハン倒したかと思ったらもう一枚ひっくり返してきたラストは衝撃的だった。でも。これはドニー・イェンが悪い。ドニーじゃなかったら車こんなに壊れないでしょという壊れ方だもの。普通の人が落ちたら人間の方がどうにかなって、車は少しへこむくらいで妻子は完全に無事でしょ。だから、ドニーが悪い。と自分は思う。