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実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

ヒューマンガス様の青春。映画「ベルフラワー」を観た。

映画

 昔、大阪の単館上映で公開されていて、その時は結局観れなかったが、ようやく観ることができた。

ベルフラワー [DVD]

 この映画もまたボンクラによる、ボンクラのためのボンクラ映画。

 「マッドマックス2」のヒューマンガス様に憧れて、火炎放射器やマッドマックスみたいな改造車(火を噴く)を嬉々として自作している男が主人公で、さらにこの映画のキャッチコピーが「もうダメだ、女は信じられない」と来たら、もう観るしかない。

 痛々しくもまっとうで不様な青春モノだった。つまり良い映画だった。実際には「マッドマックス」はこの映画とほとんど関係ないけど、「マッドマックス」好きが主人公(主演兼監督)の映画という言い方が一番近い。

 核戦争により文明の荒廃した大地をホッケーマスクと半裸と44マグナムだけで生き抜いたヒューマンガス様を理想の男として、いつか訪れる荒野を夢想しながら火炎放射器を自作し、車を世紀末仕様に改造する主人公ウッドローと親友のエイデン。そんな中、ウッドローはコオロギ早食いで女と知り合い、いい感じになりつつも、フラれて(?)絶望する。

 フラれたウッドローが車に横殴りに轢かれてからが、この映画の真骨頂というか、現実(女)にブチ切れたウッドローが暴走していくのがこの映画の見所。でも徐々に現実と妄想が入り混じっていて、注意して観ていないと話の筋は少し掴みにくいのと、盛り上がる部分のタイミングが分かりにくいかなあというのが難点かもしれない。それでもこの映画は面白いし、自分は好きなボンクラ映画だ。火炎放射のシーンとラスト辺りの展開はめちゃくちゃ自分好みでした。

 色彩の使い方が独特(上のパッケージ画像みたいな色合い)で、ドライな色遣いはグラインドハウス風を意識してるのかもしれないけど、炎の赤色と黄色が映えて印象的に見えて良い相乗効果がある。あんまり見かけないし、売ってないけど、こういう系統の映画が好きな人は見ても損はないと思う。

 ちょいと突っ込んだ話は「続きを読む」からどうぞ。

    

 

  • 「ヒューマンガスは○○しない! ヒューマンガスは××しない!」みたいな羅列、映画の展開的には唐突だけど、そこだけ取り出せば嫌いじゃない。タイミングを見計らって実生活でも使っていきたい。
  • 火炎放射器で元カノの私物を焼く部分がウッドローの妄想なのは、作中でも明かされているけど、その妄想がどの範囲までかは言及されていないのはポイント。
  • 個人的には妄想開始は車に轢かれた以後で、親友エイデンも親友の彼女コートニーもほぼ完全に妄想だと思ってる。
  • 最初はエイデンの存在自体が妄想もあるかなあと思ったけど、そうするとコートニーの存在が意味不明になるんで、エイデンは実在するはず。そして、コートニーとの事故後のアレコレは全部ウッドローの妄想だと思う。
  • ラストのエイデンが妄想かどうかってのが一番のポイントだと思うけど、妄想であった方がボンクラ映画としても青春の終わりとしても良いラストという気はする。ウッドローが悲惨すぎるというのはあるけれど。
  • この映画で妄想の判別がつきにくいのは、ウッドローがいない場面でも、ウッドローの妄想であるという可能性が後半で示唆(元カノのミリーとコートニーの喧嘩はウッドローの妄想という前提で)されているから。
  • だから寝ている間に髭の刺青入れるとか、荒唐無稽な展開が妄想かどうかよく分かんないんだよなー。ミリーが他の男に頼み込むシーンとか、妄想か現実なのか。その後のブチ切れウッドロー無双は妄想だって分かりやすいけど。
  • でも映画全体を覆うのは、ウッドローの怒りで、やり場のない怒りしかない。何に使うのかわからないまま開発を進める火炎放射器そのものだ。それがこの映画の全てだし、自分をこの映画に引き付ける何かだ。
  • 考えれば考えるほど、もう一度観たくなる映画だなあ。
  • とりあえず、ラストのエイデンは妄想で、ウッドローが一人で荒野にやり場のない怒りを抱えているという解釈が自分の結論万人には勧めないが良い映画だった。