実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

KONOYO NO OWARI。「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー」を観た。

  正確に言えば映画ではないが、なんとなく衝動的に観てみた。ちなみにレンタル屋では「その他・ドキュメンタリー」の棚を一生懸命探していたけど、あったのは「邦画・ドラマ」コーナーだった・・・。

 ナオト・インティライミとは何者か。失礼ながら代表曲が何かも知らないし、少し前にネット民の間でコラ画像とかネタにされていたのを知っている程度だ。そんな中でこの記事を読んで興味を持ったので観てみた。

basement-times.com

 

 感想。 ナオト・インティライミの心臓が強すぎる。明らかに違う方向に向かっているポジティブさと一言余計なこと言っちゃう感じが、自分の弱い心臓をギリギリギリーとさせるスリル。最初からネタとして観ていた部分はあったにしても、全編通して面白かった。本人のナレーションが全編通してさざ波程度に感情を逆立たせるのも絶妙。

 特に面白かったのはエチオピアのとある部族の村に行く序盤のエピソード。現地で飲まれているコーヒーを飲ませてもらって驚愕の一言「泥の味がする」から、現地の流儀に従うのがナオト流というナレーションと共に半裸になるが、次の日に「泥の味のコーヒーと半裸で過ごしていたので体調は最悪だ」というナレーションと共に、ものすごく具合の悪い顔をしたナオト・インティライミの顔アップ。その日は現地の人の好意で、放牧している家畜を見せてくれるということで、草原を歩いているらしいんだけど、あと数キロ歩かないと辿り着かないと聞いた瞬間、体調が悪いからこれ以上歩けないと現地の人に告げるナオト・インティライミ。その時の現地の人の顔。そして、リタイアしたナオト・インティライミを置いて歩いて行く現地の人。その背中を見ながら「あー、めちゃくちゃ歩くの速い」と呟くナオト・インティライミ。そして、いきなり村から離脱して街のホテルに泊まり「薬を飲んで、水をたくさん飲んで、よく寝て汗をかいたら治った」というナレーションと共に、何食わぬ顔で再び村に顔を出す展開は完全に予想外で笑ってしまった。

 その後も別の国で8年半ぶりに大物ミュージシャンに会いに行って、ライブに乱入しようとしたり、見所(ツッコミ所)は多くて、意外と楽しめたのは良かった。

 その中でも一番ヤバいと思ったシーンは、フェスに参加していたナオト・インティライミが超笑顔で「今この瞬間に爆弾が落ちてきたら、と思ったら鳥肌が立ってきた。人生で初めての経験」とナチュラルに語るシーンで、この時の語り口や表情がナオト・インティライミの基本的に溢れんばかりのポジティブさとこの世の終わりにも似た絶望を同時に覗かせていて、とんでもないシーンを見てしまったという気持ちになった。このシーンだけでも観る価値はあると思う(笑)

 

Amazonビデオからも見れるっぽい。