実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

ウッチャンへと至る道。映画「金メダル男」を観た。

 ウッチャンこと内村光良による、内村光良のための映画。途中まで、内村光良の自伝的映画かなと思っていたんだけど、実際はウッチャンが脚本・主演を務めた一人舞台「東京オリンピック生まれの男」の映画化が正解のようだ。 

金メダル男 [DVD]

  

 この映画の見所は、主人公の青年時代を演じる知念侑李が、本当にウッチャンに似ている所。正確に言うと若い頃のウッチャンと言われても納得してしまう風貌。だから本物の内村光良にキャストがバトンタッチする中盤までは、高精度の自伝再現VTRを観ているような気分になってくる

 この映画って一言で言うと何なのさと問われたら、しばらく考えた挙句に「和製・・・フォレストガンプ・・・?」とモゴモゴしながら自分は答えると思う。洋画ではよくあるけど、邦画でこういう自伝的回想スタイルの映画って珍しいのではないかなとも思う。原作が一人芝居の脚本だからというのもあるのかもしれないけれど。

 あと自伝的スタイルの副産物として、昭和中期~平成初期という日本の流行史をなぞっているのも特徴かも。猿岩石が出てきたり、当時のヒット曲とか流れるんで、なんとなく面白い・・・かな? あとこの映画のヒロインとして木村多江をチョイスしたセンスは地味に、鈍く光っている。主張し過ぎても主張しなさ過ぎても成立しない所に木村多江。映画も全体としてはあまり華々しくはないけど、それはそれでいいかなと思う映画で、観るタイミングを逸すると一生観ることがなさそうな映画でもあるので、観る気があるなら東京オリンピックが始まる前の数年以内に観た方がいい邦画かもしれない(適当)。

  

金メダル男 (中公文庫)

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