実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

陸海空の闘い。映画「ダンケルク」を観た。

 前情報なしでふらりと映画館に入って観てきた。 

DUNKIRK

 感想。戦争全体のスケール感と、陸海空で行われているそれぞれの人間の闘いのスケール感の対比が秀逸。ただただ画面が静謐なのが素晴らしい。どこまでも広がる風景を目の前にした時って、音が視界に追いついてこないというか、シンッとした瞬間ってあるじゃないですか。山の頂上から風景を一望した時とか、人も船もいない海を眺めた時とか、そういう瞬間。 それが映画で再疑似体験できたのは凄いと思った。

 舞台は第二次世界大戦中のフランス領ダンケルク。ドイツ軍の猛攻に追い詰められた英仏軍はイギリス本土であるグレートブリテン島へ海を越えて撤退しようとするが、陸海空とドイツ軍の包囲網が迫っていた・・・というのが話の筋。

  なので、ドイツ軍に追い詰められ浜辺でイギリス本土からの救援を待つ英国兵(陸)、イギリスからダンケルクへ救援船を向かわせるイギリス人船長(海)、ダンケルク脱出を妨害しようとするドイツ空軍と脱出を助けようとするイギリス空軍パイロット(空)の3つのシーンが切り替わりながら話は進んでいくんですが、戦場(敗戦中)でもあり、それぞれのシーンの主人公が無言(孤独)でもあるため、台詞や音が極端に抑えられている印象がある。だけど、戦争と個人のスケールの対比を際立たせていて素晴らしいと思った。

 実はこの映画、デジタルよりも高解像度のIMAX70mmフィルムで撮影されている映画のようで、通常の映画館では画面の上下が何割かカットされてしまっているのでIMAX対応の映画館で観るべき! なんて言われているよう(観た後で知った)。というのも、カットされた部分では常に海の向こうのイギリス本土が見えているという話を聞いて「マジかー! 観たいぞ、それ!」と本気で思った。その意味は映画を観たら分かる。そういう話を聞くと、IMAXで観ても良かったかなと思えるくらい良い映画だった。