少し前に映画「寄生獣」の完結篇を観たので感想。前編にあたる序章は去年に試写会が当たって観ていたが、ラストで不意打ち続編予告(※)だったので、観に行くの迷っていたが、原作で印象深いシーンが再現されているのか、というのを確認するため、結局観に行った。
※最近の邦画でよくある手法。タイトルに前編とか明記せずに、ラストでいきなりサプライズ後編予告をかますやつ。
完結編の公開前に、序章を特別編として地上波カット版放送していたらしく、ソフトリリースに近いタイミングでやるとは、何でもありだなーと思った覚えがある。
いきなり後編の話でもいいが、その前に序章の感想も簡単に書いておく。国民的漫画である「寄生獣」の話だからネタバレ……にならないよなあと思いつつも、ネタバレ配慮して書くことにする。それとは別に、寄生獣の原作は名作だから読んでいた方がいいよ。
映画「寄生獣 序章」の感想。
- 話としては原作完全版の4巻くらいまで。
- シーンとしては結構削っているが、上手く脚本が編集してあって、 前半部のテーマが再構成・再解釈されているので好感が持てる。
- 原作では冒頭に出てくるあのナレーションが、台詞として出ていたので原作ファンとしては嬉しい限りだ。「人間が半分になったら、焼かれる森は半分になるのだろうか。人間が100分の1になったら、汚染は100分の1になるのか。地球の誰かがこう思った。地球(この星)を守らなければ、と」
- 登場人物の大半が人外なんだけど、大体の役者も目が死んでいるかサイコ系な感じが漂っているので、かなりマッチしていると思う。
- 以下はネタバレをやや含む。気にならない方だけどうぞ。
- 序盤での人間生活(学校)の観察で、剣道部と弓道部の見学シーンがあったが、近接戦と遠距離での戦闘をミギーが見ていたという伏線がしっかりと利いていたのはいい。
- 最初の遭遇戦は犬ではなく人型なんだけど、ミギーに剣道部での観察が役に立ったと言わせている。島田との戦いでは遠距離から鉄パイプ矢で狙撃している部分。
- 序章での最重要キャラは間違いなくAだろう。母殺しの寄生生物も映画ではAの役回りとなっている。2回もやるとくどいので、学校襲撃は島田だけになっていた。
- 序章で、Aを通して母殺しのテーマを山場として描いたのは上手いと思う。
- ラストのAとの対決は、やけに淡白な印象だけど、殺陣があったり、シンイチが人外へと近付いているという意味付けもあると考えたら、含みのあるシーンだ。
- あえての演技ではないと思うが、A(余貴美子)が疲れているような印象を持った。逃亡生活にも、人間としての生活にも、とは穿ち過ぎか。
- 母の火傷と、母の「右手」がシンイチを救ったのも伏線として繋がっていて、オリジナル部分で評価できる部分のひとつ。
- というか、「寄生獣」の作中時代が古いから、改変しないととてもじゃないが見れたもんじゃないよなあ、アニメ版然り。
- シンイチの家庭はシングルマザーの設定。母親がメンチカツを3つ買うシーンがあるが、霊前に供えるでもなく、シンイチが2つ食べる描写もなく、謎のシーンだった。
- 加奈周りのエピソードはごっそり削っていた。まあ不良とかね、今日びの現代においてはカットされざるをえない。
- 田宮良子の名台詞「“この『種』を食い殺せ”だ」は本人の口からは出てこなかったが、ラストに登場した後藤の口から出てくるので安心(?)
- 次回は後編の話をする。