実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

マッドマックスFRとファイトクラブのちょっとした話

 去年書きかけて放置していた文章。映画「マッドマックスFR(Fury Road 怒りのデスロード)」でよく分からないシーンがあったんだけど、俺の好きな映画「ファイトクラブ」を思い出すことによって、個人的に腑に落ちた話。

  よく分からなかったシーンというのは、イモータン・ジョーの息子の一人であるリクタスのとあるシーン。自分でいきなり「俺はリクタスだ!(Rictus!)」と名乗りを上げるシーンがあるんだけど、その直前のニュークスの台詞「俺を見ろ!(Witness me!)」(序盤でも同じ台詞を言ってるんだけど、その意味の対比が熱い)とあまり繋がってない印象を持っていたのだ。

  リクタスは、何であの時自分の名前を叫んだんだ?

 そう考えた時、ふとあの映画のことを思い出した。そう「ファイトクラブ」だ。

  タイラー率いるプロジェクトメイヘムのメンバーは、名前を持たない。だが、メンバーが死んだ時には、その名前は他のメンバーの記憶に刻まれる。「彼の名前はロバートポールセン!(His Name is Robert Paulson!)」と。

 これってまさにニュークス含むウォーボーイズの口にするWitness me! と似たような理由なのだと思う。自分の死に様を他者の記憶に残す。死んでも自分の名前(記憶)が残ればそれは意味を持つ。それが「Witness me!」であり「His Name is Robert Paulson!」なのである。そしてその動機はあの世界を同じく生きるリクタスも例外ではなかったのだと思う。だからあの時、リクタスは自分の名前を高らかに叫んだのかもしれない。

 

 あと余談だけど、マッドマックスFRに出てくる台詞「私たちはモノじゃない(We are not things)」も、ファイトクラブの世界観(「俺たちは財布の中身じゃない(You’re not the contents of your wallet)」)に近いよなあということで、ファイトクラブマニアとして「ファイトクラブの世界≒マッドマックスの世界」説を推していきたい、という駄文でした。