実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

2.5次元の妙味。映画「花とアリス殺人事件」を観た。

 この前、初めて「花とアリス」観たんですが、鈴木杏蒼井優が演じる花とアリスの演技もいいし、演出も良い。2人の少女の感情の揺らぎと、前に進もうとする一歩が丁寧に描かれていて、とても良い映画だった。

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  一番印象に残っているシーンは砂浜のシーン。アリスが家族との思い出を形を変えて語るシーンも帰りのバスのシーンも含めて本当に、この映画のエッセンスがすべて詰まっていると思う。

  そして、この「花とアリス殺人事件」は関連作というか続編にあたり、時系列で言ったら花とアリスの出会いを描いた、いわば花とアリス・エピソード0にあたる映画です。  しかも、ロトスコープという実写の動きを取り入れた手法のアニメ作品として。

 最初は、実写の続編でアニメか・・・しかも「花とアリス」なんて完成度高い映画をどうするんだろうなあと思っていたんですが、観始めて数分でそんな不安は吹き飛ぶ面白さだった。

 ロトスコアニメって最近のだと「悪の華」で使われていて、その時は中途半端な印象しかなかったんですが、この映画ではものすごく効果的に使われていて、すごく良かった。派手な動きはほとんどなかったんですが、動作のひとつひとつの解像度が高くて、実写以上に演技している感じ。

 あと、もちろん主人公である花とアリス2人の声が同じく鈴木杏蒼井優が演じているのも大きいだろうと思う。動きや演技も実写の動きを基にしているせいか、観ているうちに鈴木杏蒼井優が演じている姿が脳内再生されてきて、不思議な感覚だった(笑) そういう意味では前作の「花とアリス」を観てからの方がいいかもしれない。前作のとあるシーンも、今作で再現されていて、そのシーンを観た時にこれは花とアリスであり、同時に鈴木杏蒼井優であるのだという不思議な感動があった。

 ストーリー自体も、相変わらず花の行動は常軌を逸していて面白いし、あの花が「花とアリス」ではああいう行動を取るのかと思うと、 全然別人のようでもあり、でもそんな行動もとりかねない同一人物だと納得させる説得力を持っている。

 アリスというか蒼井優は元々透明感のあるイメージの女優さんなので、実写もアニメ版のアリスもほとんど差がなく、違和感なく描かれているけど、それに対して鈴木杏が演じる花はその真逆で、実写とアニメ版の花は別人のようだけど、そこを鈴木杏の演技と存在感がしっかりと繋ぎ止めているのがすごい。 

 そう考えると「花とアリス」はアリス=蒼井優の物語であって、この「花とアリス殺人事件」は花≒鈴木杏の物語であるのかもしれないなと思った。

    

花とアリス殺人事件 オリジナルサウンドトラック fish in the pool

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