時代物コメディと思っていたら、殺陣(アクション)もしっかりとしていて意外と面白かった。主演の佐々木蔵之介の演技力が大きいし、抜刀術の使い手である設定なのと、家臣たちもそれぞれの武芸に優れているので、殺陣も見応えがあった。コメディとしても、アクションとしても楽しめる作品。
ここから先は映画のネタバレというよりかは、自分の好きな名作漫画「雪の峠」の話。雪の峠というのは「寄生獣」「ヒストリエ」で有名な岩明均が描いた歴史ものの中編漫画で、派手な絵柄でもなくダイナミックなシーンもなくて淡々と会話劇で話が進むんだけど、これが滅法面白いんですよ。NHKあたりでアニメ化しないかなあと思うくらい好きな作品。
「超高速!参勤交代」を観てて、中盤くらいから「雪の峠」っぽいなあと思い始めて、後半には完全に実写版「雪の峠」と妄想を重ねながら観ていた。実際には「高速で江戸を目指す」くらいしか共通点はないんだけど、映画で家臣たちがみんな強くて、バトルになるとテンションが上がってる様なんかを見てると、徳川支配の太平の世の中、戦のために鍛えた技を振るう機会もなく燻っていた武士の思いが、雪の峠における重臣たちの思いにも繋がる部分があって、一人で何となく感じ入りながら観ていた。
まあそんなこと関係なく「雪の峠」(同収録の「剣の舞」と併せて)は名作だと思うので、機会があれば読んでみてほしい漫画。