実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

実質マッドマックス。映画「モアナと伝説の海」を観た。

 映画公開時に「実質マッドマックスFR(怒りのデスロード)」「ディズニー版マッドマックス」という感想を見かけていたので気になって観てみた。

モアナと伝説の海 (吹替版)

 感想。本当に海路版マッドマックスだったし、ディズニーのテーマ戦略は凄いと確信した映画。ストーリーの大筋は、小さな世界の外にある大きな世界に向けて旅に出る! というオーソドックスなジュブナイルなんだけど、特にラストの話の切り返しのインパクトとメッセージ性が強烈で良かった。モアナの住む島では先祖代々、決められた場所に石を積むという伝統があるんだけど、ラストでモアナの積んだであろう石が、モアナの確固たる決意が示されていて、最高にロック。

 ココナッツ海賊は完全にマッドマックスだったし、シャイニー! と唄うカニが一番好きなキャラだった。

  あと凄いなと思ったのは、ディズニーの貪欲にテーマを深掘りしていく姿勢で、数年前の「アナと雪の女王」では現代の価値観にフィットした、理想の男性あるいはステータスとしての王子なんて別にいらないというスタンスの、新しいプリンセス(女性)像を提示して見せていて。そして次の次の作品(次の作品である「ベイマックス」はまた別の文脈なので割愛)の「ズートピア」ではアナ雪よりもリアルな社会的な問題に寄せてきて、性別(種別)と仕事(夢)の話に、社会的・政治的・歴史的な「正しさ」の正当性の話も絡めた上でかなり深めたテーマだったりすのですが、この「モアナ」でもアナ雪・ズートピアと提示してきたテーマと価値観にさらにカウンターを当てていくような立ち位置で映画を作っているのが凄い。

  世界各国の人々が観ているというディズニー映画としての自負と、現代の子供と大人にどう価値観(疑問)を提示していくかという誠意が感じられるのがとても良くて、次回作も自然と期待してしまう。