実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

公園でソウルを懸けた痴話喧嘩。映画「シンクロナイズドモンスター」を観た。

予告編で気になっていた映画。アン・ハサウェイ主演。

シンクロナイズドモンスター(字幕版)

  感想。前半から中盤はコメディ調だったんだけど、後半は完全にボンクラ映画で良かった。舞台がアメリカとソウルなんだけど、なんでソウルが舞台に選ばれたのかがよく分からない。分からなすぎて「スポンサーだからだよ!」という理由しか頭に浮かんでこない。制作国はカナダとスペインらしいけど、ソウル市民のとばっちり感が凄い。

 この映画の見所はひたすらアン・ハサウェイ。アル中で色々とやらかしたことで家なし・職なし・恋人なしとなったダメ女で脱力感溢れるアン・ハサウェイのゆるっとした魅力を堪能する映画と言っても過言ではない。キャリアウーマン系のアン・ハサウェイもカッコいいけど、ダラダラなアン・ハサウェイも独特の緩さで良いのよこれが、アル中だけど。

 この映画のタイトルにもなっているメイン設定だけど、近所の公園の砂場が何故かソウル市と繋がっていて、アン・ハサウェイがその砂場に立ち入ると、モンスターがソウル市に出現するという謎の設定。本当に最後まで何故かは明かされず、そのまま話が進む。細かいことを気にしてはいけないし、このワンアイディアで突き進んでいく姿勢は嫌いじゃない。

 なんとなく最初にイメージしていた話と違うぞ・・・でも、まあこれはこれで面白いなあ、とか思っていたら、中盤くらいから話が急展開して、幼馴染のダメンズアン・ハサウェイと同じ能力を持っていることが判明し、アン・ハサウェイと色々あってブチ切れ始めてソウルを破壊しようとして、それをアン・ハサウェイが止めるというストーリー。ソウル市は大変なことになるんだけど、現実には公園の砂場で取っ組み合いをしてる男女の痴話喧嘩というスケール感が良い。ラストの展開も意表を突いていて面白かったし、最後の最後までゆるっとしたアン・ハサウェイなのもとても良い。

 まあモンスターとかソウルの設定とか、何の説明もないんだけど、申し訳程度の回想エピソードを入れることでなんとなく説明した気になってない? 説明になってないからな!? みたいな感じ。あと、幼馴染ダメンズであるジェイソンが最高にボンクラで良いのよ。鬱屈したコンプレックスがあって、いきなり自分に特別な力があるって分かって、突然調子に乗ってイキり始めるまでの流れが、本当にボンクラ感しかなくて分かる。色々とスケール感がおかしいし、話も結構適当なんだけど、感情の濃いボンクラのドラマがあって、なんとなくセカイ系未満・準ボンクラ映画として成立しているし(多分アン・ハサウェイのおかげ)、気楽に観れるという意味でも割とオススメの映画。