実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

シャマラン流の秩序と混沌。映画「スプリット」を観た。

 今年の1月に公開予定のシャマラン監督最新作「ミスター・ガラス」に向けた予習としてこの機会に。この映画単独だと、多重人格モノ×シャマラン監督という強烈な”気配”に、あまり食指が動かなかったんですが、「アンブレイカブル」に連なる作品というのを聞いて興味を持った。それほどまでに「アンブレイカブル」は好き。そして、公開時のキャッチコピーの「3人 VS 23人」はまあ話半分で。

スプリット (字幕版)

 

 シャマラン監督が多重人格モノを扱うという時点でかなり自分の地雷センサーが反応していたんですが、悪い方ではなく比較的安定した話の映画だったと思う。話の転がり方は独特の味付けなので、好みは分かれそうだけど面白かった。

 ストーリー自体も割と王道で、現在進行形の多重人格者による誘拐監禁と、監禁された一人である主人公の女の子(アニャ・テイラー・ジョイ)の断片的な回想を絡めつつ、自身の問題(トラウマ)と向き合うというのがメインで、そこに多重人格者であるケヴィンの謎設定と過去をシャマラン風味にどんどん投入している感じ。この辺りの王道展開(秩序)とシャマラン監督の味(混沌)のバランスが絶妙で、とても良い。

 そして、何が一番良かったかって、もうとにかくケヴィン役のジェームズ・マカヴォイの演技がヤバい。姿勢とか目や表情だけで複数の人格を演じ分けているんですが、一目見ただけで、いま別の人格が変わったなというのが分かるんですよ。その佇まいだけで納得させる説得力は素晴らしい。

 一応、この映画ではケヴィンの中に眠るビーストと呼ばれる人格が話の中心になっているんですが、ラストで主人公とのやり取りはまあなんとなく分かるんですが、誘拐監禁した理由は結局よく分からないというのはあるけど、まあシャマラン映画だし、あと「アンブレイカブル」観た人には御褒美みたいなやり取り(ダン&ミスターグラス絡み)があって、「スプリット」の世界が「アンブレイカブル」から15年後の世界というのが示唆されただけで全て許せる。

 続編にして完結作である「ミスターガラス」が本当に楽しみすぎる映画でした。 

スプリット (字幕版)

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アンブレイカブル(字幕版)

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