実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

コメディ版ブレイキングバッド。映画「いつだってやめられる 7人の危ない教授たち」を観た。

 去年、単館上映していて気になっていたのをようやく観れた。イタリア版「ブレイキングバッド」な映画。

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いつだってやめられる 3部作コンプリートセット [DVD]

 

 面白かった! 研究職を追われたワープアな教授たちが「合法的な」ドラッグを作って荒稼ぎしようとする・・・というのが基本のあらすじなんですが、基本的にはコメディ映画で楽しく観れるんですが、その中にも社会風刺が感じられてとても良かった。自分が超好きな「ブレイキングバッド」が一人の人間の人生とコンプレックスに焦点を当てたドラマならば、この映画は今の社会の制度・システムに焦点を当てたコメディ。

 少し話は変わるんですが、大学批判の決まり文句のひとつに「社会に役立つことをやれ」というのがあるじゃないですか。象牙の塔に籠って、自分しか分からない研究を止めろ、平たく言えば金を稼げ、あるいは税金で研究しているんだから社会に還元しろ、みたいな感じの。

 それに対して「おうおう、分かりやすく社会に還元したろうやないかい(※ただし方法や手段や善悪は問わない)」という、あらゆる学問を実用的に応用するとこうなるぜという思考反論は、この映画のテーマのひとつでもあると同時に、教授たちが訳の分からない小競り合いをしたり、話がしょーもない質問でグダグダになったり、やっぱりボンクラな教授も悪いなこれは、という批判性もあって、その辺りの匙加減もコメディとしてとても上手く感じた。作中で主人公の研究が主人公本人しか意味と意義が分からない、という描かれ方をされていたりとか。

 あと、職を追われた教授たちの専攻が神経科学、ラテン語(古典)、マクロ経済、考古学、文化人類学・・・というラインナップなんですが、深い意味があるのかまでは分からない(笑) 主人公たちを目の敵にするマフィアのボスとの終盤のやり取りも結構好き。この映画は実は3部作モノなので、続きを早く観たい。