実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

7年ぶりの新刊! 西野マルタ「えんこうさん」を読むしかない。

 やったぜ西野マルタの新刊だ! 「五大湖フルバースト」の続編であり三部作最終章である「心の横綱」ではないけど、それでも7年ぶりの新刊は最高に嬉しいぞ! 

えんこうさん (SPコミックス リイドカフェコミックス)

えんこうさん (SPコミックス リイドカフェコミックス)

 

 

 今回の新刊は過去に発表された読み切り3作品をまとめた短編集なんですが、なぜかどれもが人間と河童が相撲を取る話ばかり(笑)

 そもそもタイトルの「えんこうさん」=猿猴(えんこう/河童の別名)であり、タイトルに偽りなしであることは間違いないし、タイトルにまで溢れた河童リスペクトが半端ない。

 人間と河童が相撲を取るという話を3つ描いているんですが、相撲、尻子玉、河童の妙薬「十三膏」、猿猴通臂、金気(金属)に弱い、河童の皿の水、利根川(東)の「祢々子(ねねこ)河童」と筑後川(西)の「九千坊(きゅうせんぼん)河童」・・・等々、河童に関する伝承や要素が作中に散りばめられていて、作者の河童リスペクトと河童に関する入門漫画としても間違いなくオススメできるだけでなく、河童を通した人間の葛藤(ドラマ)もあって、とても良い。

 五大湖フルバーストでもそうだったけど、作者は伝奇の解釈と融合が上手くて、河童の腕を返す代わりに願い事を叶えるという3作目の「怪奇腕白相撲伝」なんか、怪奇短編の「猿の手」をモチーフにしているのかなと直感的に思った。結果的に願い事も3つしているし、なんとなく。

 そんな訳で、西野マルタの「えんこうさん」オススメ。

えんこうさん (SPコミックス リイドカフェコミックス)

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猿の手」が収録されている短編集。あと、水木しげるの短編漫画「暑い日」を読んだ人なら必ずニヤリとできる短編も入っているので、水木しげるファンもぜひ。

エドワード・ゴーリーが愛する12の怪談 ---憑かれた鏡 (河出文庫)

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 あと、実に6年前の記事ですが。 西野マルタ先生の超絶面白相撲漫画である「五大湖フルバースト」関連の記事はコチラ。

ippaihaten.hatenablog.com