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実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

ウッチャンへと至る道。映画「金メダル男」を観た。

 ウッチャンこと内村光良による、内村光良のための映画。途中まで、内村光良の自伝的映画かなと思っていたんだけど、実際はウッチャンが脚本・主演を務めた一人舞台「東京オリンピック生まれの男」の映画化が正解のようだ。 

金メダル男 [DVD]

  

 この映画の見所は、主人公の青年時代を演じる知念侑李が、本当にウッチャンに似ている所。正確に言うと若い頃のウッチャンと言われても納得してしまう風貌。だから本物の内村光良にキャストがバトンタッチする中盤までは、高精度の自伝再現VTRを観ているような気分になってくる

 この映画って一言で言うと何なのさと問われたら、しばらく考えた挙句に「和製・・・フォレストガンプ・・・?」とモゴモゴしながら自分は答えると思う。洋画ではよくあるけど、邦画でこういう自伝的回想スタイルの映画って珍しいのではないかなとも思う。原作が一人芝居の脚本だからというのもあるのかもしれないけれど。

 あと自伝的スタイルの副産物として、昭和中期~平成初期という日本の流行史をなぞっているのも特徴かも。猿岩石が出てきたり、当時のヒット曲とか流れるんで、なんとなく面白い・・・かな? あとこの映画のヒロインとして木村多江をチョイスしたセンスは地味に、鈍く光っている。主張し過ぎても主張しなさ過ぎても成立しない所に木村多江。映画も全体としてはあまり華々しくはないけど、それはそれでいいかなと思う映画で、観るタイミングを逸すると一生観ることがなさそうな映画でもあるので、観る気があるなら東京オリンピックが始まる前の数年以内に観た方がいい邦画かもしれない(適当)。

  

金メダル男 (中公文庫)

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映画「ナーヴ 世界で一番危険なゲーム」を観た。

  TUTAYAのレジでCM映像が流れていたので、面白そうだから借りてみたが、1クールものの海外ドラマかと思っていたら単作の映画だった。

NERVE/ナーヴ 世界で一番危険なゲーム(字幕版)

 感想。90分ぐらいの長さで気軽に観れるゲーム系の映画。ラストのオチというか、解決策以外は良かったと思う。これで120分とかだったら印象悪いけど、90分にまとめてあるので、それほど悪くなかった。

 一見して頭脳ゲーム系の映画っぽい印象で目を引くけど、話の主軸はあくまでジュブナイルで、多感な時期の主人公が家庭内に見え隠れする影(兄の死と家族)、将来(大学進学)や人間関係(友人や自分の性格)に悩みつつも、自分の中で答えを見つける話・・・なのだと思う。作中にその徴候はあまり見て取れないけど、そう思っている。しかし、ジュブナイル系とゲーム系のストーリーラインが並行独立して走っている感じなので、どちらも肝心なディティールの描写不足は否めない。兄の死が作中で特に関係なかった部分とか、そこはベタでも絡ませても良かったと思う。

  ナーヴと呼ばれるゲームの内容は、体張ってお題をクリアして賞金ゲットという、24時間耐久ユーチューバー生配信みたいな感じ。システムとかの設定は結構ガバガバな感じはするけど、序盤~中盤のスピード感とテンポの良さで見せてくるのは良い。

 ゲームのシステムとか黒幕の存在とか、ある意味では根本の所を潔く投げたおかげで、ディティールの曖昧さなんかに不満は残るものの、映画としてはスッキリとした展開になったのではないだろうか。 

 

映画「持たざる者が全てを奪う」を観た。

 パッケージとタイトルから「ピエロがお前を嘲笑う」のリメイク版かな? と思ったけど、どうやら違ったっぽい。だけど、ハッカー映画っぽいので観てみた。

持たざる者が全てを奪う HACKER [DVD]

  感想。うーん、難しい・・・。ハッカーものというか、不特定多数のネット民が出てくるような映画って作り方が難しそうで、ネット空間というフィクション性とリアリティのバランスをどう切り取るかで、ベタで陳腐になってしまうリスクを孕んでいると思っている。それでもあえてこのジャンルに挑戦しているのは評価したいし、自分も何か新しい地平が観れたらいいなという気持ちで観ている部分はある。

  そんな風に甘めに採点しても少し厳しいのが正直な感想。本作のハッカーは、カード詐欺×ダークウェブのソーシャルハッキングという感じなので、人によっては肩透かしに感じるかもしれない。

 主人公のモノローグと共に進んでいくんだけど、そのせいで淡々とした印象になってしまい、見せ場のシーンもあまり盛り上がらなかったし、ストーリー展開(ダークウェブのカリスマであるゼットの正体とか)もやや唐突な印象があったのは残念。カメラワークとか演出もそこまで新しさは感じなかった。

 あと、実話をベースにした映画、という煽り文句が映画の冒頭でも出てくるんだけど、どこまでが実話ベースなのかも分からないし、何の事件が元ネタかもソースないし、その根拠のなさが逆にチープ感を出してしまっていて残念。 

 だけど小道具として携帯はBlackBerry、ノートPCはALIENWAREを使っているので、そういうガジェット好きにとってはポイント高い。

 

 

 

 

 

 

庶民にとっての戦争。映画「この世界の片隅に」を観た。

 去年から話題になっていたけれど、最近ようやく近所の映画館でも上映されることになったので観てきた(当時は3月)。

 公開初期の上映館数少ない頃から割と絶賛されまくっていたので、賛否両論のバランスが悪いな・・・という一抹の不安もあったんですが、普通に良い映画で安心した。

 

この世界の片隅に

 

 感想。この映画は御存知の通りの戦争モノなんだけど、庶民から見た戦争という印象がある。戦時中にある戦場で戦った一兵士の話でもなく、日本のために散ったゼロ戦パイロットの話でもない。戦争の時代を生活していた庶民、女性が主人公の話。そういった距離感の作品はなんだか新鮮だった。

 主人公のすずさんは造船所の街である呉に嫁いできたのほほんとした女性で、あくまで淡々と日々の生活を追っていくように話は進む。とは言え、もちろん戦争の影は作品全体に広がっていて、物資不足による日々の生活の緩やかな変化だったり、昨日まであったものがなくなるといった形で表現されている。

この世界の片隅に 上 (アクションコミックス)

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  そうやってすずさんの幼少期から嫁いだ時の事や、結婚生活なんかの色々なエピソードが積み重ねられていくんだけど、日記のように「〇月×日」みたいなテロップが入るんだけど、日本人なら誰しも知っている場所とXデーが着実に近づいていることが分かる演出は地味にハラハラさせられる。

  全体として丁寧に作られているなと感じるし、原作の絵柄や空気感、昭和っぽい演出(ありゃー、みたいな)も上手く再現されていて良かった。 登場キャラはそれぞれ思う所はありながらも口には出さず目の前の日々の生活や日常を淡々と、時には楽しむように過ごしていくので、当時のいわゆる大日本帝国時代の末端の庶民はこれくらいの温度感だったのかなと思わせるだけの説得力というかリアリティは感じる。

 だからこそ、敗戦のニュースを聴いた時のすずさんの感情の爆発は、心に響いた。すずさんにとっては、日々を感情豊かに過ごす生活と戦争が地続きのもので、そうやって悲しさや怒りの感情を出さずに楽しそうに過ごすことがすずさんにとっての戦争だったのだと、一瞬で反転させて気付かせる演出がすごい。

 あとエンドロールで描かれる、すずさんとおりんさんのならなかったもう一つの未来もじんわりと沁みる。良い映画でした。多くの人に観てもらいたいと思える作品。 

 

 これを反戦映画とか教育的か(小中学生に推奨できるか)というと、小中学校を「はだしのゲン」で育った人間としては、うーんとは思う。はだしのゲンが教育的かという議論は置いておいて(笑) 色々な意図は付加できるけど、あくまで政治的・教育的な意図から離れて観るべき出来のいい映画・アニメ・作品であって、まあ終戦記念日には毎年「火垂るの墓」と交互に放映してもいいんじゃないかなあとは思うなどした。

 

この世界の片隅に
 

 

この世界の片隅に 中 (アクションコミックス)

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この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)

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〔コミック版〕はだしのゲン 全10巻

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