実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

あのマッコールさんが君の街にいるなら。映画「イコライザー2」を観た。

 前日に予習・復習(前作「イコライザー」) を済ませた上で公開日に観に行った自分には一分の隙もなかった。上映時間の関係で4DXで観たけど展開の関係で水しぶき多めだった。タイトルは伊集院光のカブトムシの秘密より。

イコライザー2 (吹替版)

 

 基本的なストーリーは前作と同様で、とある街で様々な理由で行き詰まった人達を人知れず助けていく主人公のマッコールさん(デンゼル・ワシントン)が、街に潜む巨悪をイコライズしていく展開。

 前作では中盤くらいからイコライザーとして覚醒した主人公が、今回はオープニングからフルスロットルでイコライズしていて様式美すら感じるし、徐々に悪人を人知れず始末していく概念と化している感じがして面白い。「マッドマックス」のマックスがシリーズを重ねるごとに、世紀末にどこからともなく現れて民を救う概念と化したように、イコライザーも最終的に都市伝説みたいな存在になったらなったで面白い。

 前作はイコライザーとは・・・? からのイコライザーTUEEE!!ということを楽しむ映画だったけど、今回はイコライザーとしての生き様と過去の清算の話っぽくもあり、ドラマ部分に力を入れている印象。ポスターとかで、今度の敵はイコライザーみたいな煽りだけど、あくまで過去の戦友と違えた道を清算する話であって、イコライザーではないよなあとは思った。

 前作では歌手を夢見る女の子がヒロインだったけど、今回は美大に通う黒人青年マイルズがヒロインで、主人公とのやり取りと関係性もただ二人で会話しているだけなのにどこか印象に残る。マイルズに対しては、本当に良き父という感じで言葉を紡いでいるのが最高に良かった。監督も主演もアフリカ系アメリカ人なので、その辺りのメッセージ性にも希望と力強さを感じて好感が持てる。

  アクション面では前作の方が好みだったけど、終盤の突風は「???」ってなったし、マイルズを狙っていたのに突然狙わなくなったりするのは正直分かりにくかったけど、全体的にアントワーン・フークア監督も主演のデンゼル・ワシントンも初めての続編ということで、気合入っているのを感じる。あと、ラストの100冊目が「失われた時を求めて」なのは、作中の感情ともリンクしていてとても良いし、ラストの余韻も素晴らしい。

 オープニングのアクションや前作の設定(妻と100冊の本)を踏まえた展開もあったり、前作ファンへの目くばせもしつつ、別作品としても成立させているので前作を観てなくても楽しめるようになっていると思う。 前作のインパクトが強過ぎて、そういう方向ではちょっと物足りなさを感じるが、全体的に軽快で相変わらずカッコ良いデンゼル・ワシントンだし、映画の出来としても最高。 

 

 

 

イコライザー (字幕版)

イコライザー (字幕版)

 

 

【作中で登場した本のタイトル】

 前作もそうだったけど、この映画に出てくる本のタイトルがどれもメッセージ性を感じたのでまとめてみた。

 

「世界と僕のあいだに」はオープニングで変装したマッコールさんが読んでいた本。寡聞にして知らなかったけど、現代アメリカでの黒人問題を扱った内容で2015年に出版されてその年のベストセラーになっていて、日本だと2017年に翻訳出版されているみたい。

世界と僕のあいだに

世界と僕のあいだに

 

 

失われた時を求めて」はタイトルもその長さも有名な作品。マッコールさんの奥さんの100冊リストの最後の作品。この作品名は割と他の映画内で目にしている気がする。「恋空」でも作中に出てきてた。今年は「大菩薩峠」に挑戦しているんで、来年の挑戦作候補に入れておこうかな。

 

アメリカの息子」はハヤカワ文庫NVで昔出版されていたけど、絶版っぽいので原著の方を紹介。リチャード・ライトという人は黒人文学の先駆けとなった作家みたいで、映画の内容とリンクしているし、メッセージ性が高そう。  

Native Son (Vintage Classics) (English Edition)

Native Son (Vintage Classics) (English Edition)

 

 

 【おまけ】

 今作ではあまり出なかったけど、前作「イコライザー」を観ていたら、絶対に欲しくなるアイテム。誰かクリスマスプレゼントとして、自分に贈ってくれても良いんですよ?