実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

ジャガイモとダクトテープがあれば世はこともなし。映画「オデッセイ」を観た(ネタバレなし)。

久々に映画館で映画を観てきた。Web公開されていた小説がファンからの要望で電子書籍化し大ヒット&映画化という異色の作品。

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(上) (ハヤカワ文庫SF)

 

 あらすじだけ見ると、なろう小説とか異世界転生モノを連想してしまったけど、実際にもそんな感じ。異世界=火星、異世界での最強知識=植物学みたいな。

 ダクトテープとジャガイモこそ万能であり、ダクトテープとジャガイモがあれば人はどこでだって生きていける。そんな映画だった。

 原作が既に俺TUUEEE!っぽい小説だってことは知っていたので、マイナス要素には感じなかったけど、主人公は専攻が植物学かつ宇宙飛行士で、性格がやや偏屈な部分はあるにしても、かなりハイスペックなんでピンチが来てもほとんど何とかなってしまうので、映画的なカタルシスを感じるというよりも、ドキュメンタリーとか無人島生活番組を観ているような気分になる。

 主人公スゲー! みたいなことは思っても、絶体絶命でヤバい! みたいなことはほとんど思わなかった。これって、一休さん見ている時の安心感に近いよなあと思った。今回の無理難題には、どんなとんちで解決するのかな? みたいな。

 だから、閃きと工夫を楽しむ映画として自分は楽しんだ。主人公や仲間の能力も高いが、そもそもの技術レベルが高いから、序盤が一番難易度としては高くて、後半になればなるほど難易度は相対的に下がっていく感じが出ていて、好感が持てる。終盤で主人公が火星脱出を目指す過程よりも、序盤でジャガイモ作るまでの過程の方がめちゃくちゃ面白いし、引き込まれる。つまり、そういうこと。

 あと、登場人物全員の気持ちがみんな宇宙に向いているせいか、エンジニアが鬼のように工期を詰められても、憎しみを溜めないのが何だか印象に残った。 

 

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)

火星の人〔新版〕(下) (ハヤカワ文庫SF)