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実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

映像・音楽・脚本の三位一体。映画「君の名は。」を観た。

 他の作品は漫画とかで読んだことはあるのだけど、実は初の劇場版マコティック・シンカイ(新海誠)作品だったりする。最初はそこまで興味なくて、 映画館の予告で結構流れているなあくらいの印象だったけど、ハイローの劇場版観に行った時(2回目)に後期の予告編が流れていて、前期の予告にはなかった流星群とかクレーターのカットを見たら「んんっ?」と少し興味を持ったのだった。

新海誠監督作品 君の名は。 公式ビジュアルガイド

  バランスの良い映画だった。今年の夏は「シン・ゴジラ」「HiGH&LOW THE MOVIE」と意外に豊作だったんじゃないだろうか。

 最初はただの男女入れ替わりモノかと思っていたんだけど、その辺りの話はそこそこで、もうちょっとスケールの大きな話だったのは好感。あと今までの新海誠の話ってあまり好きじゃなかったんだけど、この映画は適度に毒抜きがされていて、新海誠らしさは残しつつ、音楽と映像と勢いでちゃんと楽しめた。

 映画の冒頭で主題歌と共にいきなりOPムービーが流れ出したのは少し驚いたが、「入れ替わりモノだよ」「本編ではそこまで深掘りしないけど色々なエピソードもあったよ」「ここからさらに展開が進むよ」という雰囲気、喩えるなら1クールアニメの7話以降くらいの雰囲気と小慣れ感を出していて、かなりうまい演出だと思った。

 現代劇で時折ネックになる「ケータイ問題」も力技な部分はあったけど、上手く観客の注意は勢いで逸らしているのでクリアできているのも良い。ただ、力技すぎて色々なものがいきなり消失する現象にも繋がっていたけれど。

 それでも、作中全体のテンポが良いし、BGM含めた演出が生み出す勢いによって途中で醒めることなくラストまで駆け抜けていける映画だったので観ている間は全然マイナス要素はなかった。前半~中盤はそうでもなかったけど、ラスト近辺は完全にいつもの新海誠だった。

 映像はクオリティ高いし、音楽とストーリーもそれぞれを引き立て合っているのでバランスがいい。個人的にはそれぞれ単体(新海誠のストーリー、RADWINPSの曲)ではピンと来なかったと思うので、三本柱の総合力でこそ成立するという意味ではとても良い作品だった。

  少しネタバレは続きを読むからどうぞ。  

 

 

  • 2人は携帯で電話なりメールで直接連絡しなかったのか? というクリティカルな問いに対しては、前半は上手くはぐらかしていたと思う。ちょっと強引な解釈だが、入れ替わり後にお互いの携帯でやり取りしてる描写を何度も入れることで、携帯が出てこない不自然さは消していたし、入れ替わりのドタバタものから話のテンポとスケールを加速させることで観客の注意も上手く逸れていたんじゃないかと思う。
  • 後半は加速したスケールで、いきなり隕石が降ってきたりタイムパラドクスみたいなレベルの話になっていくのと、そんな小さい話を気にしている場合じゃねえ! という空気が映画全体から放出され始めるのでツッコむタイミングを失う。
  • ブログの記事がいきなり目の前で消失していったり、「三葉、三葉! 三葉! ・・・誰?」という記憶がシームレスにいきなり消えていく現象とか、かなり乱暴な力技だけど、あの段階まで行くとそういう話じゃない空気になっているし、これは新海誠の話なんだ! って無言の圧力を最高に感じましたね。
  • なので、途中で勢いに乗れなかったりすると結構辛い映画かもしれないけど、上手く振り落とさずに進めていこうという工夫は感じられるので良い。
  • ラストは2人が出会うことなく喪失感を抱えたまま生きていくのかなあ、それはそれで味のあるラストだが・・・と思っていたけど、最終的には出会えてよかった。いや、それにしても喪失感ENDは暗すぎるわな。
  • トーリーだけで見ると、なんか脳裏がズキズキとしてくるんですが、昔読んで超唖然とした村山由佳の「もう一度デジャヴ」とほぼ同じプロットじゃないか、これ? という結論に達した。音楽と映像演出の力は凄い。
もう一度デジャ・ヴ (集英社文庫)

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