実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

才能と後悔の物語。映画「gifted/ギフテッド」を観た。

 あの名作「(500日)のサマー」のマーク・ウェブ監督の映画なので、「(500日の)サマー」好きの人間としては観ないわけにはいかない。

gifted/ギフテッド (吹替版)

  ↑のパッケージの通り、主演は「キャプテンアメリカ」でお馴染みのクリス・エヴァンスと、女の子はマッケナ・グレイス。

 ギフテッド(神様からの贈り物)というタイトル通り、これは才能にまつわる映画で、持って生まれた才能や能力は何のために使うべきか、という話。自分はそういうテーマが好きすぎる。パッと頭に浮かんだのは漫画なら水上悟志の「サイコスタッフ」(下のリンクから無料で読める)とか、映画なら「セッション」「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」とか、そういう話。

www.mangaz.com

セッション(字幕版)
 

 

 自殺した姉(数学者)の娘メアリー(数学の天才児)と、その娘を預かることになった独身の弟フランクが主人公で話は進むんですが、そんな天才児に子供らしく普通に生活するんだというフランクと、才能を持って生まれた人間には才能を活かす責任があるとメアリーに英才教育させようとする母親との対立なんかも絡ませながら話は進んでいくんだけど、それぞれの思いと主張にはそれぞれに過去とエゴがあって、どちらの言い分もなんとなく分かるし反論も分かる、というバランス感覚が良い。どちらも、同じ人物に対する過去の後悔を子供メアリーでやり直そうとしている側面があって、その辺りの感情の機微の描き方が上手くて、そしてさらに終盤の展開でやられた! と思った。

 この映画のキモは天才と凡人の話だけでなく、姉(あるいは弟)と母親の親子の確執の話でもあって、終盤で主人公によって明かされた真相によって、話の角度がぐるりと変化して、自殺した姉の立ち位置が一変した瞬間が一番グッときた。その結果として、メアリー自身の話が少しぼやけてしまったのは残念だったけれど。そんな天才児役のマッケナ・グレイスが表情豊かで、「周りが子供に見えて退屈で仕方がない」って感じの大人びた子供の表情がとても良くて、フランク含めた大人とのやり取りが「(500日の)サマー」を思い出す軽妙さで面白かった。 

  

 

【同監督作品】