実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

みずしまーっ!映画「ビルマの竪琴」を観た。

 ようやく2017年に突入できましたが、今年は去年のペースを緩めてゆるゆると映画を観ていきたい所存。ちなみに今年初めて観た映画は「風立ちぬ」でした。

  前に感想書いたけど、あのラストの美しい夢と辺獄が同居している光景が最高で、あの光景を見るためにこの映画を、次郎の人生を追体験していると言っても過言ではない。ソフト買って繰り返し観てる映画の統計取ったら「ファイトクラブ」と「風立ちぬ」がツートップなのは間違いない。それはそれで良いのだけど、今年は棚に眠る他の映画も再発掘したい所。

 

 と話は変わって「風立ちぬ」の連想から戦争映画ということで、今まで名前とあらすじを知りながら観ていなかった映画「ビルマの竪琴」を観た。中井貴一主演の1985年版。元々は笑う犬の生活のコント「奈良の竪琴」で元ネタの存在を知って、こういうあらすじなんだなあと思ってから幾数年、ついに元ネタ映画の観賞に至る。

ビルマの竪琴 [DVD]

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  ビルマの人に完全に溶け込む中井貴一。約30年前なので若い・・・いや、あまり変わってないな・・・。

 

 感想。オーイ、みずしまーッ! 一緒に日本に帰ろうー! あらすじ知ってるし、昔の邦画だし、期待を高くもなく低くもなく割とフラットに観始めたんですが、思いの外面白かった。水島が出てくるパートはもちろん、水島の出てこないパートもダラけずに楽しめた部分が大きい。特におっさんオンリーの合唱シーンが良かった。関西弁を喋る現地の婆さんも良いキャラだ。

 水島が出てくるパートは別にギャグシーンじゃないんだけど、中井貴一が演じていて、なおかつ現地の風景に溶け込んでいる様を見ていると何故か笑えてくる。同じ部隊の日本兵たちが「あれ、水島じゃないのか?」「水島じゃねえよ、お坊さんだよ。それにしてもよく似てるなあ」「いや、やっぱり水島じゃないのか!? 追いかけてみよう」→見張りの人「作業の時間だ! 早く来い!」→水島によく似た人が気にはなりつつも、その場を離れるみんな。という下りが3回くらいあるので、そこは普通に天丼ネタとして面白いし「みずしまーっ!」って言いたくなる。水島、仲間たちに見つかって言葉を交わせば郷愁の思いが勝ってしまうので、会うわけにはいかないと思いつつも、何度もダイナミックに仲間たちの前に姿を現すのが、最高にイイ。

 それでも水島が最後に登場するラストシーンは、それまでの水島の心情を丹念に重ねてきたのもあって感動的だった。序盤での水島の行動がラストで形を変えて反復されているのは良かった。言葉を交わさずとも音楽(ビルマの竪琴)で、人に伝えることはできるし、言葉は通じなくても音楽で人は分かり合えるということ。序盤で水島が説得に向かった日本兵たちの「日本が負けて戦争が終わったのが本当だとしても、いま自分達が抵抗して死ぬのが無意味だとしても、死に場所をここに決めたのだ」という台詞が回り回って水島自身に返ってきたような因果も感慨深いラストだった。 

 そして改めて思う、コント「奈良の竪琴」の再現率の高さよ(最終的にはその結論)。 

  

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 高再現率のコント「奈良の竪琴」が収録されているのはこちら。