この映画を観に行った時、俺の心は閉ざされていた。
アン・ハサウェイを初めて知ったのは映画「プラダを着た悪魔」 で、 ロバート・デ・ニーロを知ったのは映画「タクシードライバー」 。 映画で初めて観たアン・ハサウェイはキュートで、デ・ニーロはクレイジー、それが第一印象だった。
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そんな2人が共演するだと!
共演・・・する。・・・共演するの? なんで?
みたいな得体の知れない不安に襲われるわけですよ。観たい映画があると連れられて来た映画館の前で。
駄目だ。
この映画に過度の期待してはいけない。「プラダを着た悪魔」も「タクシードライバー」もDVD買ったくらい、何度観ても面白い名作だ。しかし、そういった期待をこの作品に乗せてはいけない・・・ッ! そして、俺は心を閉ざしてこの映画を観たのだった。
という所までが前振りですが、何も期待しなかったせいか肩の力を抜いて観れたせいか、そこそこ面白く観れた。アン・ハサウェイはともかくとして、デ・ニーロにした意味あったのか? という点と旦那の問題に起因する夫婦≒仕事の問題とか根本的に解決してない点はあったにしても。
いやあ、それにしてもアン・ハサウェイは美人だった。デ・ニーロもスーツ老紳士ぶりが板に付いてる。他人の問題には深入りしないけど、包容力と暖かみが半端ない。まさにオノ・ナツメ的世界観を体現したような大人の対応。
観ていて思ったのは、かつて「プラダを着た悪魔」がメインターゲットにしていた女性層に向けた「続き」であると同時に、アメリカの女性観の緩やかな変化のようなものだ。若手独身バリキャリウーマンのハサウェイが仕事での成功と恋愛をシーソーさせたのがプラダなら、インターンは子持ち起業ママのハサウェイが仕事の維持(継続)と家庭生活をシーソーさせているのだけど、この映画でそれらを描くその視線(あるいはデ・ニーロ演じるベンの視線)は、どこか温かく優しく肯定的だ。そして意外と、映画の終わり方も割とふんわり終わるんだなあ。
うまくは言えないけど、そういう視線って少し前までは、少なくとも「プラダを着た悪魔」が上映されていた10年くらい前にはなかったと思う。一応、プラダでもメリル・ストリープがその立ち位置を担っていたんだけど、肯定的な視線は送られていなかったように思う。時代の細かな変化が反映されている感じ。
あと、冒頭で定年退職し妻を失ったロバート・デ・ニーロが色々な余暇に手を出す中で公園で太極拳をするシーンがある。そして色々あった末に、公園で太極拳するシーンがラストでも繰り返されるんだけど、この一連の流れが、この映画の中で俺の琴線になぜか一番触れたシーンだったからというのが、今回のタイトルの意味。
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あと、アン・ハサウェイがキュートって書いたけど、それは「プラダを着た悪魔」の場合はという話で、最初に観た映画が「ダークナイト・ライジング」のキャットウーマンだったらセクシーとしか言ってなかった、間違いない。
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