実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

騙そうとする人間を騙すのが愉快。映画「アトミック・ブロンド」を観た。

 前から気になっていたので公開日に観てきた。 元々はこの映画の監督が「ジョン・ウィック2」の監督をする予定だったらしいのだけど、納得の世界観で満足な傑作。

ポスター/スチール写真 A4 パターン2 アトミック・ブロンド 光沢プリント

  冷戦終結直前のベルリンを舞台にしたスパイ映画で、シャーリーズ・セロンの美しさとキレッキレのアクションを堪能するだけでも価値ある映画。時代設定的にも今まであまり観ていなかった時代の話だったので新鮮な気分で楽しめたのも良かった。

 とは言え作中ではやや説明不足というか、一つの舞台に登場人物が錯綜していて分かりにくい部分は確かにあったので、混乱したくない人はチラシとか公式ページの人物紹介(誰がどこのスパイか程度)をさらりと見ておくと良いかも。

 舞台の背景としては、第二次世界大戦が終わって、その後に突入したアメリカとソ連が対立する冷戦時代も終わろうとしている中、敗戦国のドイツの首都ベルリンは占領国であるソ連、アメリカ、イギリス、フランスの各国のスパイが入り乱れて活動しているという情報戦の最前線。そんな中で自国のスパイの謎を調査するために陰謀と諜報の坩堝ベルリンへ向かうという導入。基本的な時系列はコトの全てが終わった後で、MI6(イギリス)のスパイであるシャーリーズ・セロン演じるロレーンが取調室で事の顛末を語るというスタイルのストーリー。

 「キングスマン」では義足の殺し屋ガゼルを演じていたソフィア・ブテラがフランスのスパイ役で出てきたのは嬉しい。性格が気弱なスパイ(&百合)なのはギャップがあった。

 この記事のタイトルにも引用しているけど、この映画は「騙そうとする人間を騙すのが愉快」という台詞と、ラストである人物が歌うように宣言する「ベルリンという街を愛している」という台詞に尽きると思う。後半の台詞なんて、なんでこうなったかという理由の全てが込められているし、一人のスパイが陥った顛末という意味でも説得力がある。 

 80年代の終わりを80年代のナンバーをBGMにしながら疾走するのも良いし、アクションは意外と泥臭いけど、シャーリーズセロンがひたすらカッコいいのでオススメのスパイアクション映画。

  ソフィア・プテラとか、イギリスのスパイのコードネームが「パーシヴァル」と円卓の騎士が元ネタだったり全体的に「キングスマン」を彷彿とさせるので、併せてどうぞ。

  自分が気付いていないだけかもしれないけど、最近はスパイ映画増えたような気がする2017年。