実家の犬が踊る

狂人の真似とて大路を走らば、即ち狂人なり

サスペンスからの超展開。映画「マンハント」を観た。

  ジョン・ウー監督作品。福山雅治がW主演しているので邦画に見えるけど香港映画。元々は高倉健主演の邦画「君よ憤怒の河を渉れ」をリメイクした作品らしい。

マンハント(字幕版)

 

 二丁拳銃。白い鳩。さりげなく挿入された「For a Better Tomorrow」という台詞。間違いなくジョン・ウーの映画だった。

 ストーリーとしては全体的に大雑把な感じで、メインの舞台は日本(大阪)なんだけど、大阪を舞台にしたほぼ香港映画。二人組の女殺手(冒頭のアクションは超絶カッコいい)、逃走する弁護士(主人公)、それを追う警察(もう一人の主人公である福山雅治)、あと黒幕とか色々な人物と組織が入り乱れているけど、そこまで混乱なく収束させている手腕(力業)はお見事。4つくらいの勢力が、いつの間にか主人公サイドVS敵サイドのシンプルな構図になっているから安心していいと思う。

 アクションパートはしっかりしているし、福山雅治も日本刀を振り回してアクションしてるのでシンプルに楽しめる映画だと思う。吹き替えの音ズレ(口の動きと合っていない)が少し気になるのはあったけど、邦画っぽいけど実質は香港映画なので、その辺りもまあ仕方がない。

 

 この映画の見所というか面白くなってくるのは、それまでのサスペンスの皮を捨て、いきなり斜め上の展開をブッ込んでくる終盤から。そして、この映画を最高に面白くしている要素の一つに脇役のホームレスの存在がある。そう、序盤で西成みたいなスラム街に逃げ込んだ主人公を匿ってくれるホームレスのリーダーである坂口さんである。

 色々あってとある研究施設に、バイト応募したホームレスとして潜入することになって、そこに何故か坂口さんも一緒にいて「久々にみんな(ホームレス仲間)に会えるぞー」みたいな呑気なことを言っているんですが、次の瞬間「実験用のホームレスが到着!」という分かりやすい台詞で即否定されたり(笑) 人体実験によって一瞬で殺戮マシーンにされ檻に戻ると同時に仲間のホームレスをやけに本格的なアクション(脇固めとか使う)で倒しまくったり。そして唐突に坂口さんの謎の回想シーンが流れたりして、呆然としながら爆笑。この坂口さん役の人、倉田保昭という有名なアクション俳優らしくて、動きのキレにも納得なんだけど、アクションがキレ過ぎていて、完全にホームレスの動きじゃなくなっていて、人体実験を一瞬されただけでホームレスがこんな超人みたいな動きをするのかみたいな感じになるのは面白い。

 この坂口さんのシーンからがこの映画の真骨頂とも言えて、序盤から中盤にかけての冤罪疑惑とか犯人探しとか逃走はお遊びに過ぎないことが判明する。実は人間の肉体と精神をモリモリにするヤバい薬を巡る話ということが、終盤で唐突に明らかになる。 というか、主人公が逃げ回る原因となった冤罪事件の犯人は途中の何気ない会話であっさり分かる。下手すると序盤で分かるんだけど、終盤でもう一度「そうです私が犯人です!」みたいなシーンを挟むから、何を伝えたいのかよく分からない回想と顔芸でまた爆笑。最終的に犯人もヤバい薬を使ってモリモリ超人になってバトルが始まるんだけど、その流れからラストの展開は雑なんだけど、意表を突いていて本当に面白かった。 

  

マンハント(字幕版)

マンハント(字幕版)

 

 

 こちらが元ネタの映画。

君よ憤怒の河を渉れ [DVD]

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